2010年02月13日

産廃処理の現地確認

テレ玉(旧テレビ埼玉)の「エコ玉」のCMが好きです。
何とも言えないシュールな感じがたまりません。
地方局とは思えない、田舎臭さがないところもいいですね。

テレ玉「エコ玉」のCM

埼玉の人しか見られませんが。




産廃を処理業者に委託する際、現在は排出事業者が自主的に行っていることが多い「現地確認」を、廃棄物処理法を改正して義務付けようとする動きがあります。

中環審 廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)

一般に、現地確認は、不適正処理を防ぐ上で、有効であると言われています。

ただ、私が普段、排出事業者でこれらの現地確認(弊社では「監査」と読んでいます)を実際に行う担当者を指導・教育したり、監査の社内規則やチェックシートを作ったり、たまに頼まれて監査に同行したりする立場から言わせていただくと、現地確認が不適正処理防止に有効とは言い難いと感じます。

「今のままでは」現地確認が有効というのは疑問、という意味で、です。

まず、一般に日本企業には、他者を監査したり、取り締まったりといった文化があまりありません。
これは、監査の文化が根付いていて本社機能の主要な業務になっている外国企業とも違いますし、取り締まることが仕事の一部でもあったりする役所とも違います。

また、多くの企業では(直接の利益に繋がらない)廃棄物管理に専任担当者を置くことが困難であるのもまた事実です。これは、税金で運営されている役所ともまた、事情が違います。廃棄物の場合は、「管理レベルを上げたところで結局、法的・経済的リスクを回避できない」(がんばっても報われない)ことも、関係していると思います。社内で一番の専門家でなければならない立場の私ですら、専任ではありません。

こういう状態で監査に行っても、監査員の力量のレベルが低すぎて、チェックリストを持たせたところで、まともな監査にはなりません。私が同行した場合でも、私はできる限り工場側の担当者にメインで進めてもらおうとするのですが、お決まりの見学コースを回って、業者自慢の設備を見て、会議室に戻ったらお茶を飲みながら業者の営業と雑談して、体よく帰されるのがおちです。弊社の規則には監査に行けと書かれているはずですが、本音か行き違いか、「見学会」と言ってのけた業者もいました。

排出事業者には、一般的にはこういった現地確認についてのノウハウがほとんどありませんので、行かないよりは行ったほうがいいかもしれませんが、この状態では費用と労力に見合った効果は得られないと思います。

これは一案ですが、現地確認を義務化するのであれば、並行して、県の産廃担当者が企業の廃棄物担当者を集めて「現地確認はここを見るべし」といった、役所のノウハウを伝授する機会を作っていただきたいと思います。

また、現地確認の専門家集団へのアウトソーシングも一案だとは思いますが、排出事業者側の担当者と産廃業者との接点が少なくなったり、受託監査員の中立性の問題(おそらく参入するであろう業者は、自身が産廃業者であったり、現在産廃業者と何らかの取引関係があったりする者が多いはず)があったり、懸念もあります。ただ、本当に不適正処理を防ぎたいのなら、現地確認の効果を最大にする方法を考えるべきであって、「自分でやる」という美学にこだわるべきでない、そういう意味でこの選択肢もあってしかるべきでしょう。

なかなか私からパブコメなどへ意見を出す余裕がありませんが、「とにかく現地確認を義務化すれば不適正処理が防げるんだ」といったような、安易な考えはやめていただきたいところです。少し意地の悪い言い方をすると、義務化とセットで何をするかは、(我々排出事業者ではなく)役所の本気度が問われているところだと思います。
posted by JUN at 03:16| Comment(4) | TrackBack(0) | 環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は、排出事業者による処理業者の現地確認は、あくまでも排出事業者自身のリスク管理のためであり、廃棄物の適正処理確保とは目的が違うと考えております。
適正処理確保は本来行政などの公的セクターが担うべき責任であり、民間事業者は、廃棄物処理法に則った委託契約をすることが排出事業者責任の果たし方だと思います。


>県の産廃担当者が企業の廃棄物担当者を集めて「現地確認はここを見るべし」といった、役所のノウハウを伝授する機会

極論すると、現在の行政最前線には、そのようなノウハウは存在せず、担当者自身の曲解に基づいたチョー法規的な方針で、危険な行政指導を繰り返しているのが現実です。

全部の行政官がそうだとは言いませんが、年々人材劣化が進んでいることを肌で感じています。

行政と処理業者を盲目的に信頼できない以上、排出事業者自身が廃棄物管理責任を真摯に追求し、リスクをリスクとして認識するしかなさそうです。

廃棄物処理法以外にも、企業の責任ばかりが強化される流れが強まっていますので、企業にとっては頭の痛い時代になりましたね。
Posted by 尾上雅典 at 2010年02月14日 08:52
尾上さん
コメントありがとうございます。

尾上さんのお考えですと「現地確認の義務化は論外」ということになりますね。

中環審の報告書案をあらためて確認してみましたが、「適正処理確保のために現地確認の義務化が必要」という論理で、やはり尾上さんのような考え方は採っていないようです。
残念ながらこれが世間の流れでもありますので、きっと尾上さんも苦々しく思われていることでしょうね。

役所の状況はわかりませんが、尾上さんのおっしゃることが本当なら、そちらのほうが早急に手を打つべき問題ではありませんか?
「役所ではできないから、企業に義務化しよう」では、それこそ「安易な考え方」と言われても仕方がないと思います。

指導的立場にある役所が良い背中を見せてこそ企業もついてくるというもの。それこそ「役所の本気度」が疑われますね。

尾上さんがよくおっしゃっているリスクの観点ですが、企業の担当者で実態をわかっている人ほど、フィットしない考え方ではないかと思います。リスクをリスクとして認識していないのは論外ですが、企業の担当者もそんなにバカではないので、同時にそれが「回避できないリスク」であることも知ってしまうからです。

その原因は、自治体の廃棄物処理行政において、自治体の責任逃れのために、「信賞必罰」という社会の当然の原則が無視されていることにあります。
私だってもし副社長から「どっちにしろ、何かあったらウチが被るんだろう? だったら、やるだけ無駄じゃないのか?」って追及されたら、「おっしゃるとおりです」と答えるしかありませんから。(苦笑)

でも、それが当たり前になったら、廃棄物処理法なんて、誰も守らなくなりますよ。最低限それだけは自治体にちゃんとしてほしいところです。
Posted by JUN at 2010年02月14日 12:12
役所の本気度については、ご指摘のとおりで、そこがまず本当に重要な点です。

あと、リスクに関して若干の補足でありますが、まず、リスクをリスクとして認識していない企業の方が多いのが現状です。

そして、私の考えているリスクとは、無防備な状態で不法投棄に巻き込まれ、リスク管理の不手際によって企業が醜態をさらすというリスクです。

そのため、常々言っている「廃棄物管理にまつわるリスク」とは、「不法投棄を回避できないというリスク」ではなく、「巻き込まれたとしても最悪の結果を発生させないためのリスク管理」というイメージです。

今まではこのように具体的に話してこなかったため、リスクに関しては、JUNさんが指摘されたような上滑りの解説になっていたのかもしれませんね。

非常に重要なご指摘をありがとうございました。

まずは企業の実務担当者に話を聞いてもらうことが先決ですので、今後はより具体的な解説を心掛けたいと思います。
Posted by 尾上雅典 at 2010年02月15日 10:53
尾上さん
再度のコメントありがとうございます。

> リスク管理の不手際によって企業が醜態をさらすというリスク

それ、ありますねぇ〜(苦笑)

ただ、廃棄物管理自体がマニアックな世界なので、「なんだ、あの会社はそんなこともできてないのか」って思う人、そういう違いがわかる人が、そもそも少ないような気もしますけど。

あと、私が過去に不法投棄事件に巻き込まれたりした経験から思うのは、やはり経営層が気にすることは、不法投棄が回避できるかどうか、そのための対策がされているかどうかです。

経営者は不法投棄を防ぐためにいるわけではないので、今後はそういうことに事業の足を引っ張られたくない、そのためには問題が起きたときに、多少の手間とお金をかけてもかまわないから、きちんと対策をしなさい、と思うのは、まっとうな経営者であれば、当然の心理かと思います。

ですがもちろん、他社のやることなので、一民間企業が不法投棄を防ぐことはできません。その上、昔の豊田メタルの一件のように、巻き込まれれば、違反の有無に関わらず犯罪者扱いで責任を取らされるのが今の社会です。
担当者もそういう未来が見えてしまうので、経営層から「もう大丈夫だろうな?」と訊かれても、胸を張ってYESとは言えるわけがありません。

これでは廃棄物管理に熱心な担当者ほど社内での立場が悪くなりますし、やる気を喪失してしまいますね。社内を見ても、私はその点を心配しています。

多少なりともお役に立てたのでしたら光栄です。
Posted by JUN at 2010年02月16日 00:47
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