2010年02月18日

いろいろなリスク

先日の産廃管理の件で、排出事業者のリスクの話になりましたが、こういうリスクもあるなと思いました。

最近マスコミをにぎわせている、トヨタのリコール騒動ですが、やっとまともな記事がありました。

自動車業界に広がるトヨタ擁護論

記事を書いた桃田健史氏は、日頃から自動車業界の記事を多く書いているだけあって、さすが業界に精通していると感じます。この記事は私も賛成できる点が多いです。私も(私は技術屋ではありませんが多少は知っている者として)、アメリカのアクセル(フロアマットの件を含む)の件は設計面の欠陥の可能性があるが、プリウスのブレーキの件は欠陥とは考えにくい、そういう点で、この2つは同列には扱えないと思っています。

トヨタ側もそのような説明をしていると思いますので、基本的には同じ認識と思います。

一点、記事のABSの説明の中で

滑り易い路面でのブレーキロックにより、制動距離が長くなることをカイゼンするため、ブレーキの踏み力と路面状況を各種センサーが感知してタイヤの回転を制御するのが、ABS機構である。


・・・とありますが、「ABSが作動して制動距離が短くなる」と考えている技術者はほとんどいないと思います。ABSは、タイヤがロックして車両のコントロールが効かなくなるのを防ぐため、制動距離を少し犠牲にしてブレーキを意図的に少し「抜く」ものなので、結果的に制動距離は長くなるはずです。

ブレーキ問題についてのトヨタ側の説明を疑問視する根拠として、実際に衝突事故が起きているということも言われますが、ABSの考え方は、こういったこととも整合すると思います。
ABSが作動してドライバーの予想以上に制動距離が伸びたために衝突してしまったというのもあり得る話で、しかしそれはタイヤがロックしてコントロールを失い、車両がスピンなどしてしまうような、命に関わる事故とはレベルが違う事故のはずです。
実際の事故の原因が、このようなABSの本来的な機能によるものなのか、ブレーキの制御にプリウス特有の設計上の問題があるのか、ドライバーの運転の仕方も一因になっているのか、よく検証する必要があると思います。

また、もうひとつ、リコールについてですが、私は仕事柄、主要な中央官庁のホームページについて、更新情報をチェックしていますが、リコールというのは、だいたい週2〜3件はコンスタントにあるもので、それほど珍しいことではありませんし、トヨタが目立って多いわけでもありません。
しかし、なぜリコールがそれほど騒ぎにならないかというと、トラブルが、かなりいろいろな条件が重ならないと発生しないようなレアケースなので、(もちろんもし起こったら重大な結果を招くのでリコールするわけですが)実際はおそらくドライバーが原因の事故を心配したほうが、圧倒的に確率が高いのではないでしょうか。
ですので、たとえ欠陥によるリコールがあったとしても、わかった時点で適切に対処すれば、問題は大きくならないわけです。(もちろんリコールを隠すのは論外です)

桃田氏も指摘していますが、こういったABSのことやリコールのことを、マスコミもほとんど理解しておらず、トヨタ以外の第三者的な立場では誰も説明していないというのは、世間に誤解を与え、無用の不安をあおるという点で、やはり問題だと思います。(当事者であるトヨタの説明は、正しいことを言っていても立場上言い訳にしか聞こえないので)

環境や労働安全衛生、コンプライアンスなどに関しても、問題が専門的で一般にわかりやすいものではないために、世間の誤解から叩かれるリスクというのはけっこうある、というのが、我々がトヨタの一件から学ぶべきことなのかもしれません。
実際、産廃の不法投棄事件に巻き込まれただけなのに、自社の管理状態や違法性とは無関係に、世間からいきなり犯罪者同然の扱いを受けた排出事業者も、過去にありました。

マスコミ対策というと、裏工作のような良くないイメージかもしれませんが、良い意味でのマスコミ対策として、つまり正しい理解と報道をしてもらう、何かあった場合は第三者的立場から説明してもらえるよう準備しておくことも必要なのかもしれません。
posted by JUN at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 現場法務日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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