2006年11月04日

現実を直視しよう

企業の法律違反などの不祥事はよく報道されますが、どうも話が問題の核心まで届いておらず、表面をちょっと舐めてわかった気にさせているだけのように思います。

このような報道のためか、はたまた「勧善懲悪もの」が多いハリウッド映画の影響か、「法律違反をする人間は、特別に悪い人間である」と考えている人が多いように思いますが、私が今まで見てきた範囲では、ごく普通の、(少なくとも私よりは)まじめな会社員ばかりでした。

勧善懲悪で終わらせるのではなく、誰にでも起こりうる身近な問題として、きちんと傾向と対策を考えていく必要があるでしょう。

私は今までの経験から、以下のように大別しています。

@ 「無知」型    → 「そんな法律・事実、知らなかった」
A 「現実逃避」型 → 「気になってはいたが・・・」
B 「軽視」型    → 「ばれなければ」「大したことでは」

私の経験では、8割以上のケースは@です。社会がこれだけ複雑化・高度化し、数え切れないほどの法律が存在している現在、@を完全になくすことは非常に難しいですが、減らす努力をする余地はあります。
それは、ひとつにはISO14001の規格などで取り入れられている法順守管理の手法であり、特に大きな組織については、私が提唱している「現場法務」という考え方もそのひとつです。

その他で意外に多いのがAです。これは言葉で簡潔に説明するのは非常に難しいですが、仕事をするのは人間ですので、特に重い現実にぶつかった場合の、人間の複雑な心理状態が引き起こすものと言えるでしょう。

Bは「悪意」であり、利益や自分の立場など別のことを優先して、法律違反を軽視してしまうケースです。倫理として法律違反そのものを軽視している場合と、他のことを優先してしまう場合を、両方とも幅広く含んでいます。
私は自分では見たことがありませんが、近い状態を見たことはあります。これは個別各社の企業文化によるところが大きいと思いますが、弊社ではこれで法律違反まで行ってしまったのは見たことがありませんし、私自身も弊社ではある程度途中で防ぐ自信があります。

世間で問題になっているのは、ほとんどがBだと思います。事件として報道されるような重大な結果を招いたり、または招くおそれがあったりする場合というのは、当事者もそれを心配して、専門部署や専門家に問い合わせたりして、法律違反となることを事前に知ることが多いからです。
もちろん、環境や労働安全衛生分野では、アスベスト問題のように重大な結果を当事者が予知できない場合もありますが。

本社の法務部というのは、やはりエリート意識が強いのか、他の業務をまったく経験していないまっさらな新人をとって、あまり外に出さずに「純粋培養」することを好む傾向が強いように思いますが、新人からいきなりこのような管理業務に入ると、事業部の中で実働部隊として働いた経験がないために、現場の人の気持ちがわからず、

@ 無知 = バカだ
A 現実逃避 = 弱い人間だ
B 軽視 = 悪人だ

などと思い込んでしまいがちです。
しかしそれでは、マスコミなどが問題の表面だけを舐めているのと同じで、問題の核心に迫り、根本的な解決をすることはできません。
そんな、現場の人の気持ちを理解していない人が高みから叫ぶ「コンプライアンス」など、現場の人の心に届くはずがないのです。たとえその人が、どれほどの法律の専門知識や、弁護士などの肩書きを持っていようとも。

この点、エリート法務部員にできないことを補うのが「現場法務」の真骨頂です。
posted by JUN at 23:16| Comment(0) | TrackBack(1) | 現場法務日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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