2014年05月16日

ISO審査員の法律絡みの指摘は弁護士法違反?

法務部門がグループ会社の仕事をするのは弁護士法に抵触するのでは?
・・・と思ったりしますが、怖いので言いません。
(自分では、それを理由に仕事をお断りしたことがあります)




別の問題を検索して調べていたら、ISOの審査員が法の不順守を指摘するのは弁護士法違反だと書いている人がいらっしゃいまして、そういう観点は無かったと少し驚き、自分なりに調べてみました。


<前提>

ISO14001やOHSAS18001の審査機関が行う審査では、法の不順守そのものが指摘事項として挙げられることがあります。
基本的に「システム審査」(しくみの規格への適合)なので、法の不順守という「パフォーマンス」(そのしくみがもたらした結果)を指摘するのはおかしいという考えもありますが、結果をもってしくみの有効性に疑問を投げかけていると考えればおかしくはないとも考えられます。

審査機関は受審組織より依頼を受けて有償で審査を行い、指摘事項の是正を確認後、認証を決定します。審査機関が指摘事項の是正を促したり援助したりすることは通常ありません。認証の決定に影響するだけです。

また審査機関は、審査の中立性を確保するため、受審組織へのコンサル的な業務を行うことはできないとされています。


弁護士法は、非弁護士の業務を禁止する72条のほか、弁護士の職務範囲を規定する3条1項が関連します。3条1項が「業務」、72条が「独占業務」を意味しますので、両者の範囲が必然的にイコールになるわけではありません。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条  弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。


(弁護士の職務)
第三条  弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。



問題の弁護士法72条の「法律事件」「法律事務」の解釈については、特許庁のページに学説・裁判例がコンパクトにまとめられていましたので、これを使わせていただきたいと思います。

弁護士法72条に関する学説・裁判例・立法例 (特許庁)


1.「事件性必要説」に基づく解釈

1−1.法律事件
法律上の権利義務に関する争いや疑義ではなく、新たな権利義務の発生する案件でもないので、弁護士法のいう「法律事件」には該当しないと考えられます。争いや疑義がある場合は通常、指摘事項として挙げることはありません。

1−2.法律事務
法律上の効果を発生・変更するものではないので、弁護士法のいう「法律事務」には該当しないと考えられます。


2.「事件性不要説」に基づく解釈

2−1.法律事件
「72条の範囲=3条1項の範囲」と考えるなら、「訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件」のいずれにも該当するとは考えにくく、弁護士法のいう「法律事件」には該当しないと考えられます。

2−2.法律事務
法律上の効果を発生・変更するものでもなく、法律上の効果を保全・明確化するものでもないので、弁護士法のいう「法律事務」には該当しないと考えられます。


・・・たしかに審査員にもいろいろな人がいることは承知していますが、通常の審査をしている限り、どうやらどちらの説に立っても、弁護士法72条に抵触すると解釈するのは困難な状況のように思えます。

審査機関・審査員は結果的に、たしかに審査結果の中で、法の不順守を示すレポートを受審組織に残すことになりますが、「報酬を得る目的で」することはそれではなく、あくまでマネジメントシステムの規格への適合性の審査と認証手続です。

争いや疑義があればむしろ判断を回避し、コンサル業務も行わないので、弁護士が有償で行う「鑑定」とは性格が異なります。この業務という点でも該当には疑問があります。

posted by JUN at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | その他法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/397132594
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

トラックバックは承認後の反映で、テーマが無関係な場合は承認しないことがあります。言及やリンクは歓迎しますが、必須ではありません。
 【参考】トラックバックとは


このページは、一会社員が個人で作成しているもので、勤務先とは無関係です。
このページは、できるだけ高い独立性を維持するため、Seesaa BLOGその他の各種サービス提供者が自己の運営のために掲載するものを除き、あらゆるかたちの広告を排除しています。
Copyright(C) 2006-2016 JUN. All Right Reserved.