2007年06月02日

OHSAS18001における会社のマネジメントと労組との関係

ISO14001(環境マネジメントシステム)と同様に、OHSAS18001(労働安全衛生マネジメントシステム)の認証登録を目指して活動している企業も、最近は増えてきているようです。

しかし、従来労使間で漠然と行ってきた活動が、OHSASで明確にされることによって、特にあくまで会社側のマネジメントシステムですので、その中で労組をどう位置付けるかが問題になります。

法律では、「不当労働行為」のひとつとして、会社が労組の運営に介入することを禁止しています。(労組法7条3号)
裏を返せば、労組は高い自主独立性を維持することを求められています。会社と労組との関係を象徴的に表していると思われる例に、「会社から労組への経済的援助の禁止」の規定があります。

OHSASを労使間で展開するのは、労組の経営参画への取組と見ることもでき、それ自体直ちに法的な問題を生じるとは思えませんが、内容次第では労組を会社の組織・マネジメントに取り込むことにもなり、労組の独立性を失わせる「介入」と見なされる危険性もあると思います。

労組の自主独立性を害さないためには、労組を地域住民と同様に「外部」と考え、労使関係は「外部コミュニケーション」のひとつとして捉えるのが適当と思いますが、少なくとも、OHSASの中で、労組側の人間を会社側の指揮命令系統に組み入れることは、避けるべきと思われます。

また、労使間のユニオンショップ協定により、労組がひとつしかなく、それが当たり前となっている会社も多いですが、一般論としては、考え方や立場の違いなどから、複数の労組が並存することもあり得ます。
このような場合、組合間で差別的取り扱いをすることもまた「不当労働行為」として問題になる可能性がありますので、労組がひとつであることを前提とした組織体制は注意が必要と思います。

「他の組合に加入している場合は、必ずしもユニオンショップ協定違反にはならない」ということを実際に認めている判例もあり「ユニオンショップ協定があるから、労組が複数になることはあり得ない」ということは言えません。(三井倉庫事件、最高裁H01.12.14)




【2007/06/02追記】

○ 労組の独立性と経営参画について

先述の通り、日本においては、労組は特に会社に対して高い独立性を求められていますが、このような考え方は、英米法の影響を強く受けたものと考えられます。

他方、大陸法系の影響を強く受けた国(主に欧州)では、会社の経営に労働者代表を関与させることを、むしろ積極的に義務付ける傾向があります。たとえばドイツでは、監査役の一定割合を労働者から選任しなければらならない旨を定めているとのことです。

ところ変われば、モノの見方も変わるということですが、「独立性」か「経営参画」かという問題は、突き詰めていくとかなり哲学的な問題になりそうです。

ちなみに、日本法では、労働者を監査役に選任することは、基本的に認められていません。これは、そもそも取締役のマネジメントの下にある労働者を、取締役を監視すべき監査役とすることは、独立性に問題があり、監査役として機能しない危険性が高い、という考え方によるものです。
posted by JUN at 14:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働安全衛生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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