2015年12月08日

【法務系Advent Calendar 2015】戦うべきか、戦わざるべきか

この記事は法務系Advent Calendar 2015に参加しています。

今回はどちらかというと私は専門外・経験不足の分野のため、私から何かをお教えしようなどというつもりは毛頭ありません。
多くのご意見を頂く話題提供の機会になれば幸いです。

昨年は、企業という組織の中での日常管理として、法的リスクの低減をいかに組織的・体系的に進めていくか?というテーマで書かせていただきましたが、今回はそれとは真逆の緊急時対応のお話です。

私が現在まで、そういった分野の実務経験が十分にあるわけではありませんが、法務にせよ環境・労働安全衛生にせよ、私は広い意味で業務の本質は危機管理であるということは常に念頭に置いていますし、しかしその割にその実務の研究や手法開発があまり行われておらず、担当者・経営層・社外コンサル(弁護士等)の個人の経験やパーソナリティに依存しているような気がしています。

とあるセミナーで、弁護士さんから、環境法における紛争や事故・事件の対応について、お話を伺う機会がありました。

近年はSNS等を通じて一般人の検証不十分な情報発信が大変な勢いで拡散してしまうので、利根川ホルムアルデヒド流出事件のような、法的な責任からみると過大なマイナス評価が拡散・定着してしまい、ビジネスに悪影響を及ぼす(いわゆるレピュテーショナルリスク)の問題は、無視できなくなってきています。

この弁護士さんは、レピュテーショナルリスクを重視する観点から、ステークホルダーとの合意形成を重視しており、これらのコミュニケーション・合意形成の手法をよく研究し身につけておくべき、というお考えでした。

もちろんこれは簡単な話ではなく、たとえばクレーマーに対しては毅然とした対応をすべきだが、初動対応であまり性急にクレーマーと決めつけてしまうと、評判の観点からは収拾が難しくなります。

お話を聞いていて、なるほどと思いつつ、前出の利根川の事件のような、過大なマイナスの評判のみならず、それに過大な法的責任まで付いてきてしまう場合、評判を気にしてそれも甘んじて受け入れるのか、承服できない法的責任に対してはあくまで戦うのか、非常に難しい問題が残ると思いました。

弁護士さんに質問したところ「ステークホルダーとの合意形成やレピュテーショナルリスクと、法的責任の問題は、別の問題と考えるのが基本線である、過大な法的責任まで受け入れることは株主から責任追及を受けるリスクを負うことになる」との見解でした。

それも確かになるほどと思いましたが、もちろん弁護士さんも補足していたように、おそらく合意形成過程でのリーク等からレピュテーショナルリスクに繋がることも容易に想像できますので、実際には簡単な問題ではないでしょうね。

それからおそらく社内の問題として、経営層は面倒な問題を嫌がりますので、「いくらかおカネ払って済むのなら、さっさと払っちゃえよ」みたいな圧力が上からかかることも想像できます。

理不尽と、戦うべきか、戦わざるべきか。
皆さんはどう思われますか?

もちろん言うまでもなく、ステークホルダーとの合意形成が基本です。
「おっとそれは法務の仕事じゃないぜ」とおっしゃる方もいるかもしれませんし、たしかに通常の契約交渉等において法務がその全面に出ることは少ないですが、いつも奥に隠れて好き勝手なことを言うのではなく、勝負所では出ていってきちんと話をまとめてくる、そういう力量はどのような立場にあっても重要と思います。実務能力そのものと言っても過言ではないかもしれません。

日常業務に追われてしまい、つい後回しにしがちな危機管理の問題ですが、突然やってくるいざという時のために、少し考えておいた方が良さそうです。

posted by JUN at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 現場法務日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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