2016年12月06日

結局「産廃業者の現地確認」って義務なの? #legalAC

この記事は法務系Advent Calendar 2016に参加しています。
タンザニアネコさんからバトンを引き継ぎました。

さあ、今までで最も盛り上がらないネタの登場です(苦笑)

自分から登録しておいてなんですが、私個人的に、悠長にブログなど更新している場合ではないかもしれない状況でして。
何かを考えさせるような深いネタでもありませんし、関係のない方には全く興味のない内容なので、何かこのネタで意見を出し合って盛り上がろうとか、後日話を膨らませようとか、そういったことは誰も望んでいないでしょうし、考えておりません。

ただ、急にこういう質問が飛んできたときに「そういえばアイツがあんなこと書いていたな」と、思い出していただければ、私としてもこんなに嬉しいことはありません。




これは法務系というより、総務・施設管理系の皆さんを悩ませている問題かもしれません。

廃棄物管理に関わり始めると「産廃業者へ現地確認に行かなければいけないらしい」ということは、社内外のどこからともなく聞こえてくる話かと思います。しかし行くとなると一日がかりの場合もありますし、業者の数が非常に多い場合もありますし、何かと忙しい総務系の皆さんには負担が大きく、上司からも「本当に行かなければいけないのか? 法的な義務なのか?」と確かめられたりすることもあるかもしれません。

最終的には、現地確認を実施するかしないかは、各社が組織として法律やリスクをどう理解して管理していくかによるわけですが、ここでは法務系の皆さんの関心事であろう法律面に絞って考えてみたいと思います。

※いくつかの自治体では、条例で現地確認義務を明文化している場合もありますが、その場合は今回の論点がありませんので、条例に従い実施してください。

早速、廃棄物処理法の関連する条文を見てみましょう。
(条文のタイトルは当方で追記)


第三条(排出事業者責任の原則)
事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

第十一条(産業廃棄物における排出事業者の自己処理の原則)
事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。

第十二条(排出事業者の現地確認)
7  事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない



産業廃棄物は排出事業者自ら処理することを原則とし、ただし許可業者に委託できるが、その場合は処理状況の確認を行い、必要な措置を講ずるように努めなければならない、という流れになっています。

ですので、ある程度廃棄物処理法の知識がある方でしたら、上記12条7項を根拠に「現地確認は法律では努力義務です」とお答えになるのかなと思います。

ただし、実はもうひとつ見ておかなければいけないところがあります。

第十九条の六(排出事業者への措置命令)
前条第一項に規定する場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれにも該当すると認められるときは、都道府県知事は、その事業活動に伴い当該産業廃棄物を生じた事業者(略)に対し、期限を定めて、支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。この場合において、当該支障の除去等の措置は、当該産業廃棄物の性状、数量、収集、運搬又は処分の方法その他の事情からみて相当な範囲内のものでなければならない。
一  処分者等の資力その他の事情からみて、処分者等のみによつては、支障の除去等の措置を講ずることが困難であり、又は講じても十分でないとき。
二  排出事業者等が当該産業廃棄物の処理に関し適正な対価を負担していないとき、当該収集、運搬又は処分が行われることを知り、又は知ることができたときその他第十二条第七項、第十二条の二第七項及び第十五条の四の三第三項において準用する第九条の九第九項の規定の趣旨に照らし排出事業者等に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき



上記は措置命令(不法投棄された産廃の撤去等、不適正処理の後始末の命令)に関する規定です。措置命令は、不法投棄者など不適正処理を行った者の他、排出事業者にも出されることがありますが、詳細な運用については環境省通知に、排出事業者に措置命令が出せる要件についての記載があります。


行政処分の指針について(環境省課長通知)

(31ページより)
B 「その他第12条第7項、第12条の2第7項及び第15条の4の3第3項の規定の趣旨に照らし排出事業者等に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき」としては、例えば、委託先の選定に当たって、合理的な理由なく、適正な処理料金か否かを把握するための措置(例えば、複数の処理業者に見積もりをとること)、不適正処理を行うおそれのある産業廃棄物処理業者でないかを把握するための措置(例えば、最終処分場の残余容量の把握、中間処理業者と最終処分業者の委託契約書の確認、処理実績や処理施設の現況確認、改善命令等を受けている場合にはその履行状況の確認)等の最終処分までの一連の処理が適正に行われるために講ずべき措置を講じていない場合が該当すること。
ここで例示している措置については、必ずしも全てを講じることが求められるものではないが、相当の長期間にわたって定期的に処理委託を行っている者、多量の廃棄物の処理委託を行っている者に該当する場合には、合理的な理由がない限り、それらの措置について何らかの形で講じていることが期待されるものであること。

なお、法第12条第7項又は第12条の2第7項の規定によるその産業廃棄物の委託先での処理の状況に関する確認を行っていない排出事業者及び中間処理業者については、「排出事業者等に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき」に該当する可能性があること
また、平成23年4月から開始された優良産廃処理業者認定制度において、都道府県知事により産業廃棄物処理業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者として認められた産業廃棄物処理業者(以下「優良認定業者」という。)は、産業廃棄物の処理状況や、産業廃棄物処理施設の維持管理の状況など、産業廃棄物の処理に関する情報を公表することとされているところであるが、排出事業者等が、これらの情報を十分に比較、吟味した上でその産業廃棄物の処理の委託先を選定している場合には、前述の注意義務の履行に関する一つの要素として考慮できること。逆に、これらの措置を行わず委託先の選定を行う場合には、他の手段を講ずることにより注意義務を果たすべきことが求められること。



つまり、現地確認を実施していない排出事業者には、行政は措置命令を出すことが可能、と読むことが出来ると思います。そもそもの12条7項が「努めなければならない」ですので罰則を生じるものではありませんが、排出事業者にとって、措置命令が出されるということは、産廃業者が起こした不適正処理事案に関して、行政によって何らかの法的責任が認定されるということになります。

もちろん、措置命令は行政処分でしかありませんし、根拠の通知も環境省から自治体への法的拘束力のない技術的助言でしかありませんので、まだ行政不服審査や訴訟で争う余地があることは言うまでもありませんが。

よって、私の結論としては、これは正確な言い方ではないかもしれませんが、「産廃業者の現地確認は法律上の義務なの?」と聞かれたら、「原則、法律上の義務です」と答えてしまってかまわないと思います。


<おまけ>

別の論点になりますので、ここではこれ以上つっこむことはしませんが、他に、

○実際に優先的に現地確認に行くべき処分業者は、中間処理業者か? 最終処分業者か?

○他に排出事業者に措置命令が出せる要件として19条の6の2項に挙げられている「排出事業者等が当該産業廃棄物の処理に関し適正な対価を負担していないとき」への実務上の対応

○そもそも「排出事業者の現地確認によって不適正処理を防ぐ」という、現行法のベースにある考え方が現実的なのか? 例えば・・・

・・・といった論点もあります。
これらについてはまた、別の機会に。

次はマイニチぱみゅぱみゅさんにバトンをお渡しします。
posted by JUN at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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